奇跡の広場

ピサの斜塔旅行の最終日はピサに行きました。
20世紀初頭のイタリアの詩人ガブリエレ・ダンヌンツィオが、「奇跡の広場」 “Piazza dei Miracoli” と賛嘆したドゥオーモ広場” Piazza del Duomo” は、世界遺産にも指定されている観光スポットです。ここには大聖堂、洗礼堂、墓所回廊と、中世に於ける世界七不思議にも数えられる鐘楼、「ピサの斜塔」 “Torre pendente” があります。
古代から海洋国家として発展してきたピサの歴史はとても古く、中世には地中海貿易の重要な地点として、また、1060年にジェノヴァとの初めての戦いに勝利したことで、地中海での地位を揺るぎないものとしました。
その最盛期に当たる12世紀(1173年)から建造が始まった鐘楼は、第3層(地上10m)が出来上がった時には既に傾斜が始まったそうです。その為、工事は一時中断され、第二工期は傾斜の修正をしながら行われましたが、完全に修正出来なかった為に第三工期では、最上層は地面に対して垂直に立てられたそうです。こうして約199年もの年月をかけて1372年に出来上がった鐘楼は、ピサ観光局の資料によると、基礎からの高さは58.36mですが、地面からの高さは55mと言う事なので、3.36m沈下してしまった事になります。しかし、当初の建築計画では現在のものよりも遥かに高くなる予定だったと言う事ですから、建設に使用された大理石の総重量もさる事ながら、如何に不安定な地盤に建てられたのかが分かる気がしますね(詳細はWikipedia “ピサの斜塔”参照)。

20世紀に入り傾斜克服の為の様々な策が施されましたが、1990年1月7日、安全上の問題から公開を休止し、ついに大々的な改修作業が行われる事になりました。僕が初めてピサを訪れたのは同年3月の事でしたから、当然、その時にはもう登る事は出来なかったわけです。

斜塔からの眺め2001年6月16日、約10年に及ぶ作業の末、公開が再開されました。
こうして生まれて初めてピサの斜塔に登るチャンスが得られた訳ですが、チケットはやはり事前にネットで予約購入していたので、決められた時間にスムーズに登る事が出来ました。
現在の傾斜角は3.97度。階段は293段(観光局公称)あります。
チケット・オフィスでもらうパンフレットには注意事項として、「心臓疾患のある方をはじめ、健康に自信がない方には決してお奨めできません」、「目まいに襲われやすい方にはお奨めできません」等の記載があり、病み上がりで、しかも高所恐怖症の僕に釘をさしている様でした(笑)。また、階段を登っている途中、係員の一人がうっかり、「こんなにいっぺんに登らしちゃって大丈夫かよ」と言った一言が耳に入ってしまい、一瞬、ギョッとしました。本来は30分毎に20~30人のグループに分かれての見学となる筈ですが、登るグループは30分毎に登り始めるけれど、降りるグループの方は必ずしも30分で見学を終えて降りてくる訳じゃないから、そのタイミングが悪ければ一度に塔内にいてもいい定員を超える事になってしまうわけでしょう?
結果、我が家は第7層目が限界(鐘がある部分)でした。あんなに張り切っていた娘でさえ、とても怯えていた様子。その手を引く僕はもっと怖くて、手摺り(写真手前)からもう一方の手が離せませんでした(@@;

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